2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J10992
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関口 豊和 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 宇宙背景放射 / 構造形成 / 元素合成 / 観測的宇宙論 / インフレーション宇宙 / 素粒子的宇宙論 |
Research Abstract |
本年度、私は主に宇宙背景放射の観測を用いて、現在及び初期の宇宙の姿を知る上で重要となる様々な宇宙論パラメータを制限する事について研究を行ってきた。主な研究成果は以下の二つに大別される。 一つ目は宇宙に存在するヘリウム4及び相対論的粒子の量に対する宇宙背景放射からの制限の研究である。我々はこれらの研究において、現在の観測からの制限および将来観測から期待される制限の予測を行った。同時にそれらの制限を素粒子宇宙モデルに適用し、特に初期宇宙の再加熱温度に対して宇宙背景放射から制限を与えた。今後これらの量は宇宙背景放射からの制限が他の天体観測からの制限を凌駕する事が期待され、初期宇宙を知る上で重要な手がかりとなる。また更に発展させた内容として、ニュートリノやグラビティーノと呼ばれる「暖かい暗黒物質」に対する宇宙背景放射からの制限について現在研究中である。 もう一つは、現在の宇宙の構造形成の種となる、初期揺らぎの非ガウス性についての研究である。我々は断熱揺らぎ及び等曲率揺らぎを含む、一般的な初期揺らぎの非ガウス性について定式化を行った。加えて、それらの非ガウス性が与える宇宙背景放射の揺らぎへの影響について、角度相関関数を実際に計算する事により定量的な議論を行った。これらの研究はインフレーションモデルを含む初期揺らぎの生成機構の検証に重要であるとともに、アクシオン模型に制限を与える等、素粒子模型に対する示唆をも含むため興味深い。なお上記の研究を発展させ、将来的な宇宙背景放射の観測が与える制限について現在研究中である。
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Research Products
(10 results)