2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J11028
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
尾崎 有紀 Nara Women's University, 大学院・人間文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 深海性エボシガイ類 / マイクロサテライト / 矮雄間競争 |
Research Abstract |
今年度は,エボシガイ類の中でも雌に矮雄が付着しているミョウガガイScalpellum stearnsiiについて,以下の研究を行った。 (1)個体識別ができるマイクロサテライトマーカーの開発 マイクロサテライト(以下,msと略す)マーカーの開発には,99%アルコールで固定した成熟した雌の筋肉を使用した。約500から1000bp付近の切りだしたDNA断片を利用し,大腸菌Escherichia coliで形質転換させた。プローブ(GA_<12>・CA_<12>)でハイブリダイゼーションを行った。プローブに対してポジティブなシグナルを示したコロニーのみをユニバーサルプライマーM13(F&R)を使用したPCRで増やし,塩基配列をよんだ。塩基配列より,ms領域を確認し,そのms領域をはさむように,プライマーを設計した。Tm温度が決定したもののみ,F鎖側のプライマーを蛍光にした。今年度は,ms領域を14領域確認し,7つの蛍光プライマーを作製した。 (2)マイクロサテライトマーカーを利用した矮雄の精子間競争の解明 父性判定の解析には,雌3個体とそれぞれに着生している矮雄全個体,胚各16個体を使用した。胚の位置(左右),矮雄の着生している位置(産卵口の近くのある点からの距離),矮雄の体積を測った。その後,雌は柄部の筋肉から,胚と矮雄は全体からDNAを抽出し,作製した蛍光プライマーを使用したフラグメント解析を行い,父性判定を行った。今回使用したmsマーカーは3つである。予備的な解析の結果,着生距離と授精成功率について有意な負の関係があったことより,産卵口に近い矮雄ほど授精成功率が高いということが示唆された。また,ある一方の胚の父親は同じ側の矮雄である傾向が出たことより,矮雄の授精競争では,卵により近い矮雄が繁殖に有利と示唆された。 今後,より精度の高い父性判定をするために,使用するmsマーカーを増やし,解析個体を増やす予定である。
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Research Products
(2 results)