2008 Fiscal Year Annual Research Report
疾患マーカーの検出及びリアルタイムイメージングを目的とした蛍光プローブの開発
Project/Area Number |
08J11041
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
冨樫 将高 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 蛍光プローブ / ケミカルバイオロジー / 脂質過酸化物 / microbeads / HNE / アクロレイン / 疾患マーカー |
Research Abstract |
高齢化社会を迎えている今日、国民が健康で穏やかな老後を迎えるためには、癌や成人病など難治性の疾患を超早期に発見し、予防的に対処することが求められている。このためには、生体内の生物学的変化を追跡でき、疾患の指標となる物質(以下、疾患マーカーと呼ぶ)を尿や血清中から極めて高感度、かつ特異的に検出できる画期的な方法が必要である。疾患マーカーについて多くの研究が行われており、報告数は数千に及ぶ。しかしながら、臨床で実際に診断に使われている疾患マーカーはその中の極少数のものである。その理由としで疾患マーカーを検出する技術が確立していないことが挙げられる。そのため、現在、安価・高感度な疾患マーカー検出法の開発が強く求められている。 私は、検出法開発の一環として、α,β-不飽和カルボニル化合物に対する蛍光プローブの開発を行った。α,β-不飽和カルボニル化合物は疾患マーカーとして注目される脂質過酸化物(アクロレイン、4-ハイドロキシ-2-ノネナール等)に多く見られる構造であり、動脈硬化症、慢性腎不全等、多くの疾患との相関が示唆されている物質である。以下にプローブの設計について述べる。 α,β-不飽和カルボニルは、チオール含有化合物とマイケル付加することで、カルボニル基を有するS-アルキル生成物を与える。我々はさらに生成したカルボニル基に対してヒドラジン誘導体を反応させることで、アクロレインをリンカーとしてチオール含有化合物とヒドラジン誘導体とを高収率に結合させることに成功した。そこで本反応原理を活用し、microbeadsと蛍光団とを特異的に結合させることでアクロレインを高感度かつ簡易に検出する方法を確立した。このような検出原理は今までなかったものであり、独創性を有している。また、microbeadsは簡易に洗浄を行えるため、未反応の生体成分や蛍光分子を取り除くことが可能であり、生体成分を対象とした場合にも信頼性の高い測定を行うことが期待される。
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Research Products
(6 results)