2009 Fiscal Year Annual Research Report
疾患マーカーの検出及びリアルタイムイメージングを目的とした蛍光プローブの開発
Project/Area Number |
08J11041
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
冨樫 将高 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 脂質過酸化物 / アクロレイン / ケミカルバイオロジー / 出血性膀胱炎 / microbeads / HNE |
Research Abstract |
私は安価・高感度・高選択的な疾患マーカー検出法の開発を行った。対象として、近年注目を集める疾患マーカーである脂質過酸化物を選択した。脂質過酸化物は、動脈硬化・腎不全・脳卒中・癌など、多くの疾患との関連が報告されている。私は、脂質過酸化物に特有の構造である□,□-不飽和カルボニル基の特徴的な反応性を活用することで高選択的に固相(microbeads)に結合させる戦略を選択した。microbeadsは洗浄が容易く、生体成分に含まれる夾雑物を除去することが可能である。そのため、タンパク質等に由来する自家蛍光を除くことが出来、高感度検出に繋がると考えた。まず、チオール基を有する蛍光団を生体試料に入れ、マイケル付加させる。その後にカルボニル炭素に対する反応性を有するヒドラジン基を持つmicrobeadsに結合させ、それ以外の夾雑成分を洗浄により取り除く。これにより、脂質過酸化物がリンカーとなり蛍光団とmicrobeadsが結合し、HPLCによる分離操作を行わずとも簡便・高選択的な検出が実現出来ると考えた。 プローブとして、tetramethylcarboxyrhodamine(TAMRA)を蛍光団としたTAMRA-C2-SHを合成し、Tentagel-NHNH2 micobeadsを用いて脂質過酸化物の検出を行った。反応条件を詳細に最適化した結果、最終的に血漿中において非常に高感度(submicromolar)に測定出来る系の開発に成功した。続いて、Cyclophosphamide(CPA)投与マウスの血漿中アクロレイン濃度測定を行った。CPAは抗悪性腫瘍剤であり、臨床で多く使用されている。しかしながら重大な副作用として、出血性膀胱炎が問題になっており、頻繁に臨床検査(血液、尿)を行うなど、状態を十分に観察することが必要になる。その原因物質とされているのが脂質過酸化物の一つであるアクロレインである。実際にCPA投与マウスの血漿を採取し、開発した方法で測定を行ったところ、生理食塩水を投与したマウスと比較して有意にアクロレイン濃度が増大していることが確かめられた。出血性膀胱炎に対して予防的に対処することで患者のQOLの向上に貢献出来、極めて意義のある結果であると考えている。
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Research Products
(3 results)