2009 Fiscal Year Annual Research Report
社会的参照のメカニズム-情動・感情刺激の処理と行動調整の間
Project/Area Number |
08J11058
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松中 玲子 The University of Tokyo, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 乳幼児 / 情動 / 認知発達 |
Research Abstract |
乳幼児が他者の発する情動・感情刺激を利用するメカニズムについて明らかにすることを目的とし、本年度は、生後13ヶ月の乳児における情動・感情価を持った他者の視線追従について検討を行った。他者の示す情動・感情的情報を利用する上で、他者が何に対して情報を発しているかについて見極めるために、他者の視線方向へ目を向けることは非常に有効な反応であると考えられる。しかしながら、表情をもつ他者の視線を乳児がいかに追従するかについて検討した研究は少なく、またそれらの知見は一貫した傾向を示していない。そこで、社会的シグナルおよび刺激の強度を統制するため、コンピュータディスプレイ上に刺激を呈示し、アイトラッカーを用いて、さまざまな表情の視線方向が乳児の注意定位反応に与える影響について検討した。表情は、中立・幸福・恐怖の3条件を設定し、左右どちらかに視線が向けられた表情の呈示後、図形刺激を左右どちらかに呈示した。図形刺激に対するサッケード時間を指標とし、表情および各表情の視線方向と図形刺激の出現方向との一致・不一致の2要因について、分析をおこなった。その結果、現段階の分析においては、生後3ヶ月頃より他者の視線を反射的に追従するとの先行知見に反し、13ヶ月児において、視線方向と図形刺激の出現方向の一致による注意定位反応の促進効果は認められず、不一致条件下の方が一致条件下より早く図形刺激にサッケードするとの阻害効果が認められた。またこの効果について、表情による違いは認められなかった。この結果から、13か月児は、他者の視線方向を処理する上で表情の影響を受けない可能性が示唆される。
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Research Products
(3 results)