2008 Fiscal Year Annual Research Report
近世中期江戸狂言作者の研究-金井三笑から四代目鶴屋南北まで-
Project/Area Number |
08J11085
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
光延 真哉 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 歌舞伎 / 江戸 / 狂言作者 / 台帳 / 悪婆 / 墳墓 / 鶴屋南北 |
Research Abstract |
平成20年度は次の3本の論文を執筆、投稿した。なお、2と3は同年度内に受理され、次年度(平成21年度)に公表されるものである。 1.「江戸歌舞伎における台帳出版-初代瀬川如皐作『けいせい優曽我』をめぐって-」(『日本文学』57巻10号、2008年10月)2、「『春世界艶麗曽我』二番目後日考」(『国語と国文学』86巻6号、2009年6月予定)3.「歌舞伎役者の墳墓資料」(『演劇研究会会報』35号、2009年6月予定) 1と2は、金井三笑と鶴屋南北の間に位置する狂言作者、初代瀬川如皐と初代増山金八に関する論考である。1では従来注目されていなかった『けいせい優曽我』(天明8年正月、桐座)の出版台帳の分析を通じて、江戸の劇場が持つ出版に関する権限の大きさ等を指摘し、2では抱谷文庫の『春世界艶麗曽我』二番目(寛政3年2月、中村座)後日の台帳が、金八や初代桜田治助等の筆跡が認められる推敲段階のものであること、従来の研究で『大舩盛蝦顔見世』(寛政4年11月、河原崎座)の三日月おせんが嚆矢とされてきた「悪婆」の要素が、登場人物の嶋のおかんの造型に既に見られること等を明らかにた。3は、調査の過程で管見に入った芝居関係者の墳墓に関する資料群を整理しまとめたものである。 上記のほか、当該年度に東京大学大学院に提出した博士論文「近世中後期江戸歌舞伎の研究」においては、南北に関する4.「『四天王楓江戸粧』考」、5.「『曽我祭侠競』考」の2論考を新たに書き下ろした。4は番付のカタリの分析という従来の作品研究では定着していない方法を試みたもの、5は早稲田大学演劇博物館に所蔵される南北の新出台帳を分析したものである。
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Research Products
(3 results)