2008 Fiscal Year Annual Research Report
中華人民共和国初期、華北農村の政権建設と教育・文化工作
Project/Area Number |
08J11099
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 正 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 中国共産党 / 機関紙 / 華北 / 農村 / メディア / 河北省 / 地域研究 |
Research Abstract |
平成20年度には中華人民共和国建国初期の河北省の農村における、成人教育や中国共産党機関紙などの、宣伝教育が如何にして普及していったのかについて考察を行った。 従来中国共産党は自らの宣伝教育を評価し、土地改革や農業集団化などの中心的な工作を促進するものとしてその意義を認めていた。しかし実際にはその普及は難しく、すぐに十分な効果をあげた訳ではなく、宣伝教育の普及には農業集団化による社会統合が先行しなければならなかったのである。そのように、現実に即して考えるならば、むしろ宣伝教育の方が農業集団化によって助けられたのだと言える。しかし宣伝教育は、一旦普及してしまえば十分に効力を発揮することが可能となり、高級合作社化など以降に続く致策の執行を助けることとなったのである。 歴史学における研究として、最近議論の俎上にあがり始めた中国共産党による宣伝教育について、その地域の中心的な政策と関連付けて論じ、客観的な分析を行った。宣伝媒体の普及に適さない華北農村において、如何にしてそれが普及していき、農民を政治的に動員することが可能となっていったのか、という過程を明らかにし、中国共産党の政権が基層社会に浸透していく様子の一端を明らかにした。従来の地域研究・中国共産党史研究にこのような視点を加えることにより、更に多面的に地域と政権の関係を明らかにすることが可能となるだろう。
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Research Products
(1 results)