2009 Fiscal Year Annual Research Report
幕末・明治初期の戯作と「巷談」の研究-仮名垣魯文の作品を中心に-
Project/Area Number |
08J11102
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神林 尚子 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 近世文学 / 戯作 / 仮名垣魯文 / 合巻・草双紙 / 巷談 / 実録 |
Research Abstract |
1、仮名垣魯文の著作の整理・紹介-作品の題材と手法の研究 筆者の主たる研究対象である、幕末から明治期に活躍した戯作者・仮名垣魯文の著作の整理・紹介については、国文学研究資料館の「開化期戯作の社会史的研究」プロジェクトに参加し、研究大会において著作解題を発表している。平成21年度は、合巻『伊賀の仇討』および『東紫哇文庫』の解題を担当した。 前者は、本文・挿絵の検証から、先行する同題材の絵本読本『絵本伊賀越孝勇伝』(速水春暁斎作、享和二年刊)を粉本として利用していることが明らかになった。先行作の要約・抄録によって構成されている本作は、魯文の抄録の手法を具体的に示す貴重な作例である。また後者は、歌澤節の詞章に取材しており、魯文と音曲との関連を示す作品であるとともに、周辺人物を多く登場させた楽屋落ち的な趣向を用いた作品として注目される。 2、「巷談」の生成と変容に関する研究-「烈女ふじ」をめぐる風聞を事例として 幕末の戯作に利用される題材のうち、特に「巷談」即ち講談等の舌耕文芸や巷間の風聞に由来する題材に着目し、その生成と変容の過程、文芸作品との交渉についても研究を進めている。「巷談」の実例の一つとして、飯田藩の「ふじ」という女性をめぐる事件についての調査を継続しており、学術論文としての発表に向けて推敲中である。 3、ライデン国立民族学博物館所蔵日本古典籍調査への参加 国文学研究資料館の研究プロジェクト「日蘭文化交流をめぐる在外資料の調査研究」の研究協力者として、オランダのライデン国立民族学博物館に所蔵される日本古典籍資料の書誌調査に参加した。 4、企画展「浮世絵・絵紙と雛人形展」の展示キャプション・解説執筆 平成22年3月に新潟県小千谷市で開催された企画展「浮世絵・絵紙と雛人形展」に際して、展示キャプションと解説の執筆を担当した。
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Research Products
(2 results)