2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経行動科学的アプローチによる芸術的パフォーマンスの向上を目指して
Project/Area Number |
08J11133
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉江 路子 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 演奏不安 / ピアノ演奏 / 運動生理学 / 生理心理学 / 心理的ストレス / 筋電図 / 情動 |
Research Abstract |
公での音楽演奏場面で演奏者に引き起こされる演奏不安は,多くの演奏家を悩ませる深刻な問題であり,その適切な対処法を探ることは急務である。本研究では,運動生理学・心理学・神経科学を組み合わせた学際的アプローチを用い,不安喚起がピアノ演奏のパフォーマンスに及ぼす影響について包括的に検討し,教育場面で役立つ実践的知見を得るとともに,情動が身体運動に影響を及ぼす機構の解明に寄与することを目指している。本年度は,「研究実施計画」に記載の通り,実際のピアノコンクール場面における高い心理的ストレスが熟練ピアノ奏者の心理/生理的状態及びパフォーマンスに及ぼす影響を検討したデータを論文にまとめ,Experimental Brain Research誌に投稿し,受理された。計画通り,8月に生理学研究所で開催された第20回生理科学実験技術トレーニングコースの「ヒト脳機能マッピングにおけるデータ解析入門」を受講し,最新のfMRI解析法を習得した。10月に広島大学で開催された日本音楽教育学会第40回大会に参加し,コンクール実験において認められたストレス反応の個人差について研究発表を行うとともに,普段から音楽教育の現場で演奏不安の問題に向き合っている音楽演奏指導者や演奏家と情報交換を行った。さらに11月に大阪大学で行われた「音楽とウェルネスの学際的融合」や2月に東京大学で行われた「脳と心の最先端」にて研究発表を行った。秋からは,演奏不安が脳波に及ぼす影響を検討する実験の計画を開始した。不安と脳波の関連を検討した先行研究の論文に目を通し,予備実験を重ねており,間もなく本実験を開始する予定である。
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Research Products
(7 results)