2009 Fiscal Year Annual Research Report
セルロース誘導体における置換基分布の新規評価法の開発
Project/Area Number |
08J11173
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
米田 夕子 Kyoto Prefectural University, 生命環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | セルロース / 置換基効果 / 加水分解反応 |
Research Abstract |
セルロース誘導体の分子鎖内置換基分布を評価する方法を開発するため、置換様式の違いによるグリコシド結合の加水分解性の差に着目した研究を進めてきた。21年度は様々な置換様式を持つメチルセルロース単糖誘導体モデル化合物の合成を完了し、これらを用いた加水分解試験によりグリコシド結合の加水分解に及ぼす置換位置の影響(置換基効果)を明らかにした。これらの研究成果は投稿論文4報、学会発表4件として発表した。 加水分解試験に供するメチルセルロース単糖誘導体モデル化合物の合成法を最終的に最適化した。1,4位にメトキシ基(=セルロース鎖モデル)を持ち、2,3,6位に水酸基またはメトキシ基を有する計8種類の化合物の合成を完了し、現在投稿準備中である。また、置換基としてアミノ基の電子吸引性に着目した二糖~四糖モデル化合物の合成を完了し、3報の投稿論文として既に発表した(11.研究発表参照)。 加水分解反応性を解析する方法として、核磁気共鳴スペクトル装置を用いた簡便な方法を考案した。これにより、正確な反応速度の測定が可能になったばかりでなく、ごく少量の逆反応(メチルグリコシル化)をリアルタイムで検出可能であることを明らかにできた。この方法により、2,3,6位のメトキシ基の置換基効果について詳細な解析を行った。その結果、上記モデル化合物の妥当性が確認され、2位、6位メトキシ基は加水分解を抑制すること、逆に3位メトキシ基は促進的に作用すること、などを明らかにした。これらの成果の一部を第15回欧州糖質シンポジウムにて既に発表し、現在投稿準備中である。
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