2008 Fiscal Year Annual Research Report
世紀転換期における日仏文化交渉史に関する総合的研究(1890-1910年)
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08J11205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 久美子 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 日仏文化交渉 / 世紀転換期 |
Research Abstract |
平成20年度は、研究実施計画の予定通り、まず『パリへ-洋画家たち百年の夢』展(於東京藝術大学大学美術館(二〇〇七年四月十九日-六月十日)ほか巡回展)、および<<de Kuroda a Foujita:Peintres Japonais a Paris(黒田から藤田ヘ-パリの日本人画家)>>展(於パリ日本文化会館(二〇〇七年十月二十四日-二〇〇八年一月二十六日))という2つの展覧会について、展覧会カタログ評の執筆を行った。本評は『比較文学研究』編集部の査読を経て、2009年6月刊行予定第93号への掲載が決定している。パリに留学した日本人洋画家を主題とし、日仏双方で展覧されたこの2つの展覧会に関する学術的批評の執筆は、改めて、画家や美術という観点からも日仏文化交渉という研究課題を捉え直す良い機会となった。 また5月には、日本比較文学会東京支部例会(於青山学院大学)において、「1900年日仏文化交渉の諸相-パリ日仏協会とフェリックス・レガメーを中心に-」の題目で発表を行った。これまで研究が皆無であったパリ日仏協会(1900-1932年)は、日仏の各界の著名人が多数参加した大きな組織であるため、様々な領域を横断し、包括的な日仏関係の再構築を目指す私の研究テーマにおいて、多数の人物や活動を結び付ける、核となる研究対象である。本発表ではパリ日仏協会に関して、後の博士論文の基盤となる部分を提示できたと考える。また、本発表の内容に加え、国際政治史、あるいは国際文化交流というよりマクロな視点から、日仏の文化政策の側面にまで論点を広げた論文を執筆していたが、予想よりも執筆に時間を要したため、予定していたフランスへの資料調査は断念し、論文の完成に専念することにした。 また、国内調査に重点を移し、パリ日仏協会の設立経緯とも深い関連のあることが推測されている、大阪日仏協会、神戸日仏協会、京都日仏協会の設立時の資料を収集することができた。さらに、パリ日仏協会会員でもあり、これら関西3都市の日仏協会の設立にも深く関わった、在神戸フランス領事ドゥ・リュシ=フォサリュー(Henri de Lucy・Fossarieu)や、神戸外国人居留地に関する資料についても調査を行い、いくつか新事実を発見できたので、今後の論文に活かしていくつもりである。
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Research Products
(2 results)