2008 Fiscal Year Annual Research Report
性選択と食性進化の相互作用がもたらす種多様性創出メカニズムの解明
Project/Area Number |
08J11227
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笹川 幸治 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | オサムシ科 / 雑食 / 配偶形質 / 安定同位体 / 飼育実験 |
Research Abstract |
(1)餌タイプが各種生活史形質へ与える効果の解析 ホシボシゴミムシAnisodactylus punctatipennisにおいて、雄の射精物生産、雌の産卵数、幼虫の成長パフォーマンスが、昆虫幼虫、雑草種子、昆虫幼虫+雑草種子の3つの餌タイプでどのように変化するのかを飼育実験により調べた。その結果、雄、雌、幼虫すべてで、正常な繁殖・成長のためには雑草種子が必須であることが明らかになった。一方、昆虫幼虫は、雌雄の繁殖には正の効果を与える一方、幼虫成長(特に生存率)には負の効果を与えていることが明らかとなった。 以上の結果は、(1)Anisodactylus属が種子食であることを初めて立証した(これまで知られていた種子食性種はAmara、Harpalus属);(2)種子食性ゴミムシにおいて種子の摂取が雄の繁殖に必須であることを初めて明らかにした(これまでの研究は雌の産卵数、幼虫成長についてのみ注目)、という点で意義がある。 (2)安定同位体解析にもとづく野外における食性の推定 種子食性ゴミムシの野外における摂食生態を解明することを目的として、同所的な近縁2種、マルガタゴミムシAmara chalcites、ニセマルガタゴミムシAm.congruaにおいて以下の2つの仮説を検証した:(1)2種間に食性ニッチ分化が生じているか;(2)個体レベルでみたとき動物質の摂取は体サイズの増大をもたらすか。解析の結果、(1)は支持されたものの、(2)は支持されなかった。これらの結果は過去に行われた飼育実験の結果とも概ね一致し、このグループの研究において安定同位体解析が有効な手法であることを示している。 (3)遺伝マーカー作成のためのサンプルの採取 種子食性ゴミムシの地域分化、繁殖生態を明らかにするための遺伝マーカーの探索を目的として、各種20個体を目標に、DNA解析用のサンプル採取を行なった。現在までに、4種について目標を達成しており、今後、室内実験を始める予定である。
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Research Products
(3 results)