2008 Fiscal Year Annual Research Report
PPARα欠損マウスを用いた酸化型LDLの量的変動機構の解明と新規薬効物質の探索
Project/Area Number |
08J11254
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中嶌 岳郎 Shinshu University, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | PPARα / ノックアウトマウス / コレステロール / 酸化ストレス / ポリフェノール |
Research Abstract |
PPARα欠損マウスに1%コレステロール含有粉末食を6ヵ月間与え、高コレステロール血症、酸化型LDLの生成、血中過酸化脂質修飾物(HNE修飾蛋白)の増加が確認された。肝臓では重度のコレステロール蓄積、過酸化物(HNE修飾蛋白、MDA、8-OHdG)の増加が認められ、コレステロールと過酸化物の量的相関が示唆された。肝臓蛋白の発現変動解析から、肝細胞のコレステロール合成・異化・運搬機能は著しく低下していることが見出された。またNADPHオキシダーゼの増加、カタラーゼ、SOD、グルタチオンペルオキシダーゼの減少が確認ざれ、酸化ストレス増加の要因と考えられた。肝組織には炎症、線維化、アポトーシスが認められ、コレステロールの過剰蓄積に伴う各種代謝障害、酸化ストレスの増加により細胞毒性が高まったものと推測された。フェノール性食品素材としてタマネギ外皮乾燥粉末を0.5%の濃度でコレステロール負荷4ヵ月目から3ヵ月間併用摂食させたところ、酸化型LDLと血・肝過酸化物の減少が確認された。肝臓の酸化ストレス関連酵素の発現量はほぼ正常のレベルであった。また血・肝コレステロール値も低下しており、肝臓細胞障害も緩和されていた。肝臓細胞のコレステロール蓄積量減少により、酸化ストレス並びに細胞毒性が軽減されたものと判断された。現在、その他のフェノール性物質の機能評価を行っている。本研究における低濃度コレステロール・長期摂食による病態モデルの構築は、ヒトの病態発症の条件に類似したものと考えられ、得られる成果はヒトのコレステロール性障害を理解する上で極めて重要な情報をもたらすものと期待される。本年度は、コレステロールによる肝臓細胞障害と酸化型LDL生成の関連について、ある程度理解が深まった。来年度は、本年度得られた成果をより発展させるよう努めたい。
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