2009 Fiscal Year Annual Research Report
PPARα欠損マウスを用いた酸化型LDLの量的変動機構の解明と新規薬効物質の探索
Project/Area Number |
08J11254
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中嶌 岳郎 Shinshu University, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | PPARα / ノックアウトマウス / コレステロール / 酸化ストレス / ポリフェノール |
Research Abstract |
新たに、PPARαノックアウトマウスに0.2%コレステロール食を8ヵ月間与え、高コレステロール血症、酸化型LDLの生成、血清・肝臓過酸化物量の増加、肝臓組織のアポトーシスを認めた。肝臓蛋白の発現変動解析から、肝細胞のコレステロール代謝能の低下と酸化ストレスの増大の要因と目される分子数種を特定した。先年度作成した病態マウスサンプルと併せて解析を行い、炎症性因子(NF-κB、TNFα等)、線維化因子(TGF-β1、TIMP-1等)、アポトーシス誘発因子(Bax、tBid等)の発現増加並びにストレス応答キナーゼ(PKC、PI3K等)の活性化を認め、病態マウスの表現型変化の解釈に有用な情報が得られた。新たなフェノール性食品素材としてブドウ外皮乾燥粉末の機能評価を行い、0.5%濃度でコレステロール負荷4ヵ月後から4ヵ月間併用飼育した。コレステロール単独飼育群と比較し、酸化型LDLと血清・肝臓過酸化物の低値を認めた。関連分子のmRNA・蛋白発現量解析結果から、肝臓のコレステロール蓄積量減少に伴い酸化ストレスが低下し細胞毒性が軽減されたものと推測された。さらに本年度は、これまでの研究成果を発展させる試みとして、PPARαヘテロマウスを作成し、同様の病態モデルの構築を行い、その条件をほぼ確定することができた。ヒト肝臓にPPARαは少量発現しているため、ヘテロマウスの解析はヒトへの外挿を考える上でさらに有用な情報をもたらすと期待される。また、PPARα活性化作用を有するポリフェノール類が最近報告され、薬効評価の面からも新たな展開が期待できる。本年度を通して、コレステロール・酸化ストレス・細胞毒性の関連についてさらに理解が深まり、新たな研究の方向が定まった。今後、発展型の研究を通して、コレステロール性障害の発生機構と治療・予防法に関して有益な情報を提案できるよう努めたい。
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