2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J11263
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田上 智宜 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 客家 / エスニシティー / 多文化主義 / 台湾 |
Research Abstract |
今年度は、特に台湾における族群(エスニック)関係、多文化主義の歴史的変遷の検討を中心に、客家エスニシティー形成に関する研究を進めた。 論文としては、客家エスニシティーの形成に関する最近の研究であり、自分の研究テーマにとって最も重要な先行研究の1つである飯島典子『近代客家社会の形成--「他称」と「自称」のはざまで』(風響社、2007年)についての書評を執筆した。これは、構築主義的な客家研究である点を評価した上で史料の扱いや研究手法等に対して幾つか批判したもので、査読を経て『アジア地域文化研究』第6号に掲載されることが決定している。 また、口頭では、日本台湾学会第11回学術大会(「新移民の出現と台湾族群論の再編」)、アジア政経学会2009年度全国大会(「民進党政権期の婚姻移民をめぐる多文化主義政治」)、シンポジウム「地域文化研究の現場から」(「台湾における多文化主義と婚姻移民」)において報告した。これらの発表では、族群概念や台湾多文化主義に関し、特に近年存在感を増している新移民と呼ばれる集団の影響を中心に扱い、従来の台湾社会で主流であった四大族群(その1つが客家)概念が抱えている問題や、族群概念に基づいて展開されている現実の多文化主義政治の現状について論じた。これによって、政治の場で客家人のエスニック・アイデンティティーが最もはっきりと観察することができる台湾において、エスニシティー/エスニック関係の有している現代的意義の一端を明らかにした。
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Research Products
(4 results)