2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J11263
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田上 智宜 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 客家 / エスニシティー / 台湾 |
Research Abstract |
今年度はエスニシティーに関する理論的側面や、現代台湾におけるエスニック関係の現状や変化、そしてその中での客家人の位置づけを中心として研究を進めた。 2008年4月から6月まで、台湾の中央研究院社会学研究所に滞在し、台湾のエスニシティー研究の第一人者である王甫昌氏の指導の下、エスニシティー理論全般や台湾におけるエスニシティー論の展開についての研究を行うとともに、1990年代以降の台湾で行われている客家政策の現状や現代台湾社会における客家の位置づけを明らかにするべく、関連する資料収集を進めた。帰国後はこれらを整理し、特に1980年代末以降の台湾で展開された客家運動と呼ばれる社会運動についてエスニシティー論の受容との関係から論じたものを、2008年度アジア政経学会全国大会において「台湾客家運動の社会的位置づけと意義」として発表した。 また、2008年3月に国際シンポジウム「台湾史青年学者国際研討会」において台湾客家人のアイデンティティー形成に関し歴史的文献の分析を通じて論じたものを発表していたが、ここでの会議論文を基に加筆修正した論文「從「客人」到客家-台湾客家族群認同論述之形成」は、査読を経て論文集の一部として出版された。 さらに、現代台湾のエスニック関係に大きな変化をもたらしている東南アジアや中国大陸からの婚姻移民(ここには少なからぬ客家人も含まれている)に関して現地調査を行い、文献や資料の収集を行った。その成果は、2009年6月に開かれる日本台湾学会第11回学術大会において「新移民の出現と台湾族群論の再編」として発表する予定となっている。
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Research Products
(2 results)