2008 Fiscal Year Annual Research Report
デザインと標準化-規格統一事業による製品の寸法の規格化
Project/Area Number |
08J11269
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
北田 聖子 Kyoto City University of Arts, 大学院・美術研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | デザイン / 標準化 / 規格 / JES / JIS / 判型 / 事務用家具 |
Research Abstract |
本研究の目的は、規格化、標準化が、製品のデザインにどのように関係し、意義をもつかを探ることである。これまでのデザイン史研究は、デザインの側から、デザインと関わる特殊な概念として標準化をみるきらいがあったが、それに対し本研究は、標準化の事例研究を通して、標準化と呼ばれる行為によって具体的に何がなされてきたかを明らかにし、標準化のコンテクスト中に標準とデザインの交わる地点を見つけるという道筋をたどる。 本年度は特に、1920年代以降にみられた日本の規格統一事業による紙の寸法の標準化と事務用家具の寸法の標準化を扱った。標準化に関する資料が、産業合理化運動の解説書、工業品規格統一調査会の議事録、各製造業者の定期刊行物、新聞などと多岐にわたるため、本年度の前半は、資料収集、分析に時間を費やした。規格審議の参考資料は、所有している機関が少なく、東京近辺への国内出張によっても調査をおこなった。紙の標準化と事務用家具の標準化の事例研究の前提として、まず、標準、規格にまつわる用語の整理をおこない、産業合理化運動を背景とした日本の規格統一事業の成立過程と展開を確認した。次に、紙の標準化と事務用家具の標準化について、それらが規格化の対象となった経緯を追い、そのなかで現在に至るまで国家規格がいかに設定されてきたかを詳らかにした。さらには、規格化、標準化の内実をさらに明確にとらえるために、規格の普及過程を追った。最終的には、二つの標準化の事例研究を総括し、そこから抽出される規格化および標準化の側から語られるデザインについての言説を通して、標準に支えられるデザイン行為のダイナミズムの可能性を示唆した。以上の研究内容とその成果は、博士論文にまとめた。
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