2009 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病においてアポリポ蛋白Eがβアミロイド凝集と代謝に及ぼす影響
Project/Area Number |
08J11308
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀 由起子 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アルツハイマー病 / アポリポ蛋白 / 線維化 / アミロイド蓄積 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)の発症メカニズムとして、脳内に産生されたアミロイドβペプチド(Aβ)が線維化し蓄積する過程が神経細胞死を招くというアミロイド仮説が広く支持されている。また、脳内にはAβと相互作用する分子が多数存在することも知られている。そのため、AD、特に孤発性ADの発症機序を解明する上で、このようなAβと密接に相互作用する分子がAβの線維化・蓄積に及ぼす影響を解明することは必須である。申請者はこのような分子の中で、特にその遺伝多型のε4アレルがAD発症の強力なリスクファクターであるアポリポ蛋白E(apoE)に着目し、apoEがAβの線維形成及び代謝過程に与える影響をアイソフォームごとに検討している。申請者は、Aβペプチドを用いたin vitroの検討において、apoEがアイソフォーム特異的にAβ線維形成過程の中間体であるprotofibrilを安定化し、それによりその後進行するfibril形成を抑制する効果があることを明らかにした。この結果と、protofibrilがAβ線維形成において線維化を進行させる凝集核(seed)として働く事実から、申請者はprotofibrilが持つ凝集核としての働き(seed効果)をapoEがアイソフォーム特異的に調節することによって線維形成速度を調節している可能性を考えた。そこでこの仮説をin vivoで検証するために、加齢依存的にAβがアミロイドとして脳内に沈着するトランスジェニックマウスを独自に作出し、その脳内に様々な凝集状態のAβ、あるいはapoEとco-incubationして作製したprotofibrilを注入して、その後のアミロイド蓄積にapoEが及ぼす影響をin vivoで検証した。その結果、protofibrilやfibrilにはseed効果がありアミロイド蓄積に対しseedとして働くことを示した他、apoEにはprotofibrilのseed効果を調節する機能があり、E3<E4のアイソフォーム間での効果の違いも認められた。これらの結果は、apoEがin vivoにおいてもアイソフォーム特異的に効果を発揮し、アミロイド蓄積に対して影響を及ぼすことを示す。また、このような効果がAD発症に関与している可能性が考えられた。
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Research Products
(1 results)