2008 Fiscal Year Annual Research Report
植民地期フィラデルフィアにおける自発的結社と公共秩序の生成
Project/Area Number |
08J11326
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鰐淵 秀一 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PC1)
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Keywords | アメリカ / 歴史学 / データベース / 国際情報交換 / 公共性 / 政治文化 / 啓蒙主義 / 植民地時代 |
Research Abstract |
本年度は、研究計画の基礎となるべき情報の収集に努めると同時に、学会発表や内外の研究者と意見の交換を行うことによって、研究の方向性をさらに明確化および深化を図った。第一点目の情報の収集であるが、研究に必要な基本文献の購入および国内の図書館から貸借等を集中的に行い、来年度以降の研究の進展の下準備がほぼ整った。さらに、七月から八月にかけてアメリカ合衆国ペンシルヴァニア州フィラデルフィアにおいて資料収集を行った。具体的には、ペンシルヴァニア大学文書部においてフィラデルフィア・アカデミーの創設に関する関係史料を収集し、同時にペンシルヴァニア歴史協会およびアメリカ哲学協会それぞれの文書部においてBenjamin FranklinやRichard Petersといった十八世紀フィラデルフィアの自発的結社活動を指導した幾人かの人物の個人文書を調査した。今回の調査旅行で収集した資料は研究計画全体の一部であったが、利用可能な史料の状況や量など今後の研究を方向づける有益な情報を得ることができた。第二点目の内外の研究者との意見の交換に関しては、今年度の四月二十六日に成城大学において初期アメリカ学会で自身の修士論文を元にした研究発表を行い、今後の研究の可能性や方向性について当分野における国内の指導的な研究者と意見を交わすことができた。また、フィラデルフィア滞在時に、合衆国における当分野を代表する研究者であるペンシルヴァニア大学歴史学部教授Michael Zuckermanと研究について意見を交換することができた。彼らとの意見交換から、フィラデルフィアの自発的結社の活動を通じて植民地時代アメリカの公共文化のあり方を探るという方向性については概ね賛同を得たが、研究方法や概念、史料の解釈をめぐってより詳細な検討を行う必要性が示されたといえる。
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