2008 Fiscal Year Annual Research Report
スプリットルシフェラーゼ系を用いたプレセニリン1の基質選択性に関わる因子の探索
Project/Area Number |
08J11338
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 千尋 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アルツハイマー病 / プレセニリン1 / スクリーニング / APP / Notch |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)の治療標的として注目されているγセクレターゼは、AD発症に深く関与するアミロイドβを前駆体である一回膜貫通型蛋白質APPから切り出す膜内配列切断酵素である。またγセクレクーゼは、APPの他にも複数の基質の切断を担うことが知られており、特にその一つであるNotch受容体は発生、分化、幹細胞の維持などにおいて多様な意義が示唆されている。従ってγセクレターゼの阻害を通したAD治療を想定した場合、同時に引き起こされるNotchシグナル伝達の阻害は大きな障害となる。申請者は、Notchシグナル伝達に影響を与えず、APPの切断を特異的に阻害するγセクレターゼ阻害剤の開発を目指し、γセクレターゼの基質選択性に関与する因子を、大規模なRNAiスクリーニングによって探索する。本研究では、二つの蛋白質の相互作用を、ルシフェラーゼ活性の保持で評価できるスプリットルシフェラーゼ系を応用する。申請者、および海外の研究従事機関であるワシントン大学セントルイス校の研究グループはまず、ルシフェラーゼのN、C末端断片を挿入したNotch、APP、およびγセクレターゼの活性中心サブユニットであるプレセニリン1(PS1)を作製した。次にこれらをtetONシステムを用いてHeLa細胞に発現させた。しかし同グループが同様のスプリットルシフェラーゼ系を用いて先立って解析した可溶性蛋白質間の相互作用が高感度、かつ特異的に検出されたのに対して、Notch、APP、PS1など膜蛋白質間の解析では非特異的な相互作用を起因とする高いノイズが検出された。現在、シグナル対ノイズ比の向上を目指してルシフェラーゼ断片の各種蛋白質への挿入位置、リンカー長などの条件検討を行っている。
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