2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J11352
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
仲谷 愛 (小泉 愛) The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 情動 / 不安 / 気分 / 表情 / 音声 / 視知覚 |
Research Abstract |
本年度は、特性不安や気分の違いによって、表情などの情動情報や、単純な運動などの視覚情報の処理がいかに変化するかを検討した。それにより、過剰に高い不安感やネガティブな感情がどのような認知機能の変化と結びついているのかを明らかにすることを試みた。これまで、特性不安レベルが高い者(高不安者)は、ネガティブな情報を優先して処理する傾向があることが知られていたが、表情や言語情報など様々なタイプの情動情報がある中で、どのタイプの情動情報の処理に特性不安レベルが特に関わるのかは明らかにされていなかった。それに対し本研究は、言語的な情動情報処理よりも表情処理に特性不安レベルが関わることを示唆した。さらに、高不安者は表情の処理を優先しやすい一方で、抑うつ傾向が高い者はネガティブな表情を読み取りにくくなることを示した。このように、その人の性格特性や心の健康状態によって情動情報処理に個人差が生まれることを示しただけでなく、その人の気分によって単純な運動刺激の知覚が変化する可能性も示した。悲しい気分を感じているときより、嬉しい気分を感じているときのほうが、人は複数の運動を同時に知覚しやすいことが示唆された。このことから、私たちの心の状態は、情動処理だけでなく視知覚処理も含む幅広い認知機能に影響を及ぼしうることが明らかになった。このような理解は、気分障害のメカニズムやその効果的な治療の理解にも繋がると考えられる。
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Research Products
(6 results)