2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J11353
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石合 宇 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 全合成 / テトロドトキシン / 神経生物学 / ビシクロ骨格 / 不斉合成かつ結晶で単離 / バイヤー-ビリガー酸化 / ホフマン転位 / グアニジン、及びオルトエステル |
Research Abstract |
テトロドトキシン(以下TTXと略す)は、神経細胞膜に存在するナトリウムチャネルを阻害する性質から、神経生物学における重要な研究ツールとして用いられており、TTXおよび類縁体の供給は合成化学が貢献すべき課題である。本研究は、鍵行程としてDiels-Alder反応を用いることにより、光学活性なTTXの効率的合成法の確立と、それを用いた生物学的応用への展開を目的としている 本年度は我々が重要中間体と定めるビシクロ[2.2.2]骨格を有する化合物の立体的特性を活かした官能基の立体的構築を行った。昨年報告したcis-ジオールの構築を行った後に、ケトンの還元を行い8位水酸基の立体選択的構築に成功した。続くホウ酸エステルの除去は、ホウ酸エステルの有機合成における活用が少ないため、普遍的と言えるものが存在せず、検討を要した。検討の結果、フッ素化剤と、定法である無水酢酸とピリジンを用いる条件を組み合わせることで円滑に進行し、アセチル化体を得た。続く4置換アルケンの接触水素化はラクトン転位を伴って進行し、4a位、5位の立体化学の構築に成功した。生じた水酸基をケトンへと酸化した。 次にケトンを足がかりとしたリンカー部位の切断を検討した。窒素官能基の導入も視野に入れ、9位をカルボン酸等価体へ変換することとした。検討の結果、バイヤービリガー酸化により酸素原子が位置選択的に導入されることを見出した。副反応であるパラメトキシフェニル基の酸化的除去は1,4-ジメトキシベンゼンを添加することにより抑制され、望みのラクトンを得た。アンモニアによりラクトンを開環した。得られたアミドのホフマン転位を行い、系中で生じるイソシアネートが分子内の水酸基により捕捉されることで環状カルバメートとし、窒素官能基の導入とリンカー部位の除去を完了した。続いてビシクロ骨格の開裂を行った。ラクトンの還元を行いトリオールとした後、ジオールの酸化的開裂が進行しシクロヘキサン骨格へと導いた。
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