2008 Fiscal Year Annual Research Report
24-ハイドロキシコレステロール特異的結合タンパク質の生理的・病理的意義の解明
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08J11481
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宇田川 理 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | オキシステロール / ORP4 |
Research Abstract |
1.24-ハイドロキシコレステロール(24-HC)特異的結合タンパク質ORP4 KOマウスの作製 これまで私はORP4が24-HCと結合しその局在を変化させるだけでなく、24-HC産生酵素である24-hydroxylaseと共通の神経細胞に発現し同調的に発現変化することを明らかにしてきたことから、ORP4が新たな24-HCの受容体の候補と考えている。今年度ORP4 KOマウスの作製が完了し、増産させた。 2.ORP4 KOマウスの組織学的解析 大腸菌で作製したマウスORP4をラットに免役し、ラットリンパ節法を用いて抗ORP4モノクローナル抗体を樹立した。得られたモノクローナル抗体を用いてマウスORP4の組織分布を調べたところ、ORP4は24-HCが産生される脳と精巣に特異的に発現していた。そこでこれらの臓器に着目し、脳をニッスル染色、精巣をHE染色を用いて染め形態を評価した。その結果、神経の形態の顕著な異常はまだみつかっていないものの、精巣の同心円管腔構造に対する欠陥がみられた。 3.ORP4 KOマウスの表現型解析 脳における表現型を探索するため現在、行動学試験を実行中である。(Y-maze,Morris-watermaze) 記憶に欠陥がみられる24-hydroxylase KOマウスも組織学的には特異な表現型はみられないので、現在行っている試験結果にも多いに注目している。 一方で、精巣形態への異常と生殖能力との関連を明らかにするために、ORP4 KOマウスの雄を成熟させ、生殖可能なWT雌と交配させたところ、プラグ形成には異常がみられないものの、妊娠させることができた個体が得られなかった。従って現在のところORP4が生殖細胞に対し何らかの寄与を有し、生殖に不可欠であると考えている。今後生殖に関わるマーカーの生化学的な解析、生殖細胞の運動性、個体レベルの脂質変動などを検討することで原因を究明し、複数の観点からORP4の機能を明らかにしたい。
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Research Products
(1 results)