2009 Fiscal Year Annual Research Report
認知制御機能の評価・訓練方法の開発に向けた認知神経科学的研究
Project/Area Number |
08J11504
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坪見 博之 The University of Tokyo, 先端科学技術研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | ワーキングメモリ / 注意 / 児童 / 虐待 / 発達 |
Research Abstract |
日常生活において高次認知活動を遂行するためには、目標行動に必要な情報をアクティブに短時間記憶することが必要である。この記憶機能はワーキングメモリと言われるが、保持機能に厳しい制約がある。われわれの日常生活では、ダイナミックに変化する環境情報が絶えず入力されるので、目標行動に必要な情報だけに注意を向け、不必要な情報は効率的にワーキングメモリから排除する機能が必要である。この制御機能は日常のスムーズな認知活動に重要であるに違いないが、それならば、制御機能を客観的に評価し、さらには学習によって向上させる方法を開発することが学術的にも社会的にも重要な課題となるはずである。このような背景のもと、今年度は、ワーキングメモリにおける制御の発達過程に関して調査研究を行った。その結果、小学校児童においては、制御機能は12才程度で成人と同様のレベルに発達することが明らかになった。また、制御機能が発達しているほど、国語や算数、理科社会という主要学科の学業成績が高いという結果も得た。音楽や体育などの科目ではこのような傾向は見られなかった。この成果は日本発達心理学会で学会発表した。また、広汎性発達障害児にも同様の調査を行い、制御機能が選択的に障害を受けていることを明らかにした。さらに、虐待を受けた児童についても同様の調査研究を行い、定型発達児に比して制御機能の発達が遅れていることを明らかにした。この成果は「小児の精神と神経」誌に発表した。
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Research Products
(3 results)