2010 Fiscal Year Annual Research Report
認知制御機能の評価・訓練方法の開発に向けた認知神経科学的研究
Project/Area Number |
08J11504
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坪見 博之 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | ワーキングメモリ / 注意 / 脳波 / 事象関連電位 / 忘却 |
Research Abstract |
われわれの日常生活では、ダイナミックに変化する環境情報が絶えず感覚器から入力される。このような状況では、目標行動に必要な情報だけに注意を向け、不必要な情報は効率的に排除する機能が必要である。このワーキングメモリと呼ばれる機能は日常のスムーズな認知活動に重要であるに違いないが、それならば、ワーキングメモリを客観的に評価し、さらには学習によって向上させる方法を開発することが学術的にも社会的にも重要な課題となるはずである。今年度は、ワーキングメモリの脳内機序を検討するため、昨年度から引き続き、米国のUniversity of Oregonに1年間滞在し、Edward Vogel博士の助言を受けながら、脳波を測るために必要な技術を習得した。脳波実験と事象関連電位の解析を通じて、ワーキングメモリの内容を更新するためには、単に過ぎ去った情報が不必要だと認識するだけでは十分ではなく、外界の情報をリサンプルし、古い情報を上書きすることが必要であると明らかにした。さらには、この更新機能は、記憶容量が高い個人ほど優れていることも明らかになった。成果は、7月には米国でおこなわれたCognitive Science Association for Interdisciplinary Learningにおいて口頭発表し、また、23年度のVision Science Societyでも発表される予定である。また、国際的な神経科学誌への投稿を目標に論文を執筆中である。
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Research Products
(4 results)