2009 Fiscal Year Annual Research Report
室温級の磁気的相互作用を持つラジカルキレート配位子を用いた分子性磁性体の構築
Project/Area Number |
08J11509
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
岡澤 厚 The University of Electro-Communications, 電気通信学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 分子磁性 / 計有機ラジカル / 磁気カップリング / 遷移金属錯体 / 結晶構造 / SQUID / ラジカルキレート / 交換相互作用 |
Research Abstract |
分子性物質は、加工性、軽量性、柔軟性など従前の無機物質にない特性をもつことから、分子性磁性材料開発においては従来の無機材料とは異なる方向性を目指すべきである。本研究ではハイブリッド分子性磁性体を中心に複合機能の開発を進めた。筆者が開発しつつある、室温級の強磁性的カップリングを有する系を応用することとし、それにより、室温動作する柔軟な磁性材料の合成開発を目指した。 【1】遷移金属イオン-ラジカル間の磁気的相互作用の構造的制御および、固相転移物質への応用 新規なニトロキシドラジカルおよびその遷移金属錯体を合成し、磁性と構造の相関性を調べた。それぞれX線結晶構造解析による分子構造を調べ、SQUID装置による磁気測定からJの値を求めた。固相-固相転移物質を合成開発し、その中で働くJがその相転移現象とともに正負にスイッチすることを見出した。転移前後および最中において、筆者により提案されている構造磁性相関は正しく成立していることを確認した。 【2】m-フェニレンビラジカル骨格を基調とする、新規ラジカルの合成・単離 ピリミジンの4,6-位にtert-ブチルニトロキシドが置換した化合物は、シンプルなものであるがまだ合成例がない。前駆体であるヒドロキシルアミンを単離し、続いてビラジカルの生成を電子スピン共鳴測定から確認した。単離を試みたところ、ピリミジン環内で付加反応を起こす異常反応生成物が得られた。 【3】ヒドロキシルアミン基を経由した比較的大きな「超超交換」相互作用の検出 ラジカルの前駆体はN-2計ピリジルヒドロキシルアミン類であり、反磁性ではあるが、強いキレート能を持っ。この銅錯体の構造と磁性を調べたところ、水素結合を通して、Cu-N-O-H…O-N-Cuの銅イオン間に、比較的強い磁気的カップリングが見いだされた。
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Research Products
(12 results)