2008 Fiscal Year Annual Research Report
魚類精原幹細胞培養技術の開発-シャーレ内の細胞から魚類個体を作る
Project/Area Number |
08J11532
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
識名 信也 Tokyo University of Marine Science and Technology, 海洋科学技術研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 魚類精原幹細胞 / 培養 / ニジマス |
Research Abstract |
本研究は、魚類の精原幹細胞の移植技術を利用して、シャーレ内で無限に増殖させた精原幹細胞から生きた魚類個体を作る技術の確立を最終目標としている。現在、移植技術は既に確立しているが、精原幹細胞を培養下で生存、および増殖させることは技術的に困難な状況にある。そこで本研究では、魚類精原幹細胞の培養技術の確立を目指し、ニジマスを材料に用いて精原幹細胞の培養下での生存・増殖を促す共培養細胞(支持細胞)、および有効な添加因子の探索を行った。まず、有効な支持細胞を同定するために、11種の魚類細胞株と精原幹細胞の共培養を行い、精原幹細胞の生存・増殖、および宿主生殖腺への生着能に与える影響を調査した。その結果、ニジマスの脾臓細胞から樹立したRTS細胞株を支持細胞として用いることで精原細胞の生存を大幅に改善可能であること、さらにここで得られた精原幹細胞は、宿主腹腔内へと移植すると高効率で生殖腺へと生着することを見出した。また、ニジマス由来細胞増殖因子や各種補助栄養因子の中から有効な添加因子の探索を行った結果、アデノシン、およびサケ血清を同定することに成功した。詳細な解析の結果、アデノシンはin vitroにおいて精原幹細胞の細胞死を抑制し、サケ血清は精原幹細胞の増殖を促進することが明らかにした。特にサケ血清添加区で培養した精原細胞を宿主腹腔内へと移植すると、生殖腺へと生着する効率が上昇することを明らかにした。最後に、両因子を組み合わせた培養液を用いて、精原幹細胞の長期間培養を行った結果、従来よりも培養期間を延長することが可能となり、培養42日目における精原細胞の生存率を、対照区である従来培養液区(8%)よりも4.75倍(38%)に高めることが可能となった。この結果は、今回同定された有効な支持細胞、および添加因子が魚類精原幹細胞の培養技術を確立するうえで非常に重要なファクターであること示している。
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Research Products
(4 results)