2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経形態と遺伝子発現とのリンク-アクチン結合性転写因子MKLの視点から探る-
Project/Area Number |
08J11534
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
石川 充 富山大学, 大学院・生命融合科学教育部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | MKL1/MKL2 (Mrtf-A/Mrtf-B) / SRF (Serum Response Factor) / アクチン / 遺伝子発現 / 突起形態 / 樹状突起 |
Research Abstract |
本研究の主な目標は、神経細胞の「かたち」と遺伝子発現をリンクさせる機構の解明である。特に、アクチン結合性転写因子MKLがアクチン動態で制御を受け核へ情報を伝える仕組みや、遺伝子産物が適切な位置に運ばれる仕組みという双方向性の情報交換を解明することにある。 1.Activin-MKL-SRFパスウェイの新規同定 ラット大脳皮質ニューロンにおいてActivinは樹状突起形態を複雑化し、SRE依存性の転写活性を上昇させることが明らかになった。この現象には内在的MKL1/2の存在が欠かせないこと、およびこのMKLがRhoシグナル伝達経路で制御されることを明らかにした。 【結果の意識・重要性】 大脳皮質神経細胞の成長や維持に関わる新規伝達経路を同定した。またMKL1/2神経突起の形態維持に重要と考えられ、そのメカニズムとして、細胞質-核間でのMKLのシャトリングがSRF依存性転写活性を調節する結果、細胞骨格関連遺伝子群の発現バランス制御をしている可能性がある。 2.神経細胞におけるMKL1/2の標的遺伝子の同定 MKL1/2を神経細胞内で過剰発現させると、β-アクチンのプロモーターが活性化することを明らかにした。またActivin処理した細胞に関しても、β-アクチンプロモーターは活性化しMKL1/2siRNA発現下で、それが抑制された。 【結果の意識・重要性】 神経系で細胞骨格系制御因子アクチンの発現を調節する因子として、新たにMKLを同定した。MKLが「かたち」と遺伝子発現とをリンクさせている重要な根拠となりうる。 3.MKL1のリン酸化誘導因子についての解析とリン酸化による影響の検討 MKL1をリン酸化する因子として新たにCDK5が存在することが明らかとなった。 【結果の意義・重要性】 MKLの細胞内局在やそれに伴う遺伝子発現調節をこのリン酸化が制御している可能性がある
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Research Products
(6 results)