2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経形態と遺伝子発現とのリンク―アクチン結合性転写活性化因子MKLの視点から探る―
Project/Area Number |
08J11534
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
石川 充 富山大学, 大学院・生命融合科学教育部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | MKL1/MKL2(Mrtf-A/Mrtf-B) / SRF(Serum Response Factor) / アクチン / 遺伝子発現 / 突起形態 / 樹状突起 / SCAI(suppressor of cancer cell invasion) |
Research Abstract |
本研究の主な目標は、神経細胞の「かたち」と遺伝子発現をリンクさせる機構の解明である。特に、アクチン結合性転写因子MKLがアクチン動態で制御を受け核へ情報を伝える仕組みや、遺伝子産物が適切な位置に運ばれる仕組みという双方向性の情報交換を解明することにある。 【主な研究成果:アクチビン-SCAI-MKL/SRFパスウェイの同定】 ラット大脳皮質ニューロンにおいて、TGF-βファミリーのひとつであるアクチビンは樹状突起形態を複雑化し、SRE依存性の転写活性を上昇させることをすでに明らかにしていた。これまで、アクチビン処理下では内在的なMKLの発現量や細胞質-核間での劇的な局在変化は全く認められなかった。そこで、全く新しいシグナル伝達経路の存在が浮上した。実際にこの現象は、MKL/SRF複合体による転写活性を抑制する転写因子:SCAI(suppressor of cancer cell invasion)の核から細胞質への移動が関与していることが解明された。さらに、SCAIを大脳皮質ニューロンに過剰発現させると、SRF依存的な転写活性を抑制し、樹状突起の複雑性も低下させることが明らかとなった。 【結果の意義・重要性】 大脳皮質ニューロンの成長や突起形態の伸長・維持に関わる新規情報伝達経路を同定した。特に、これまでニューロンでの機能が全く不明だったSCAIの転写抑制因子としての機能が解明され、SCAIの脳神経系における重要性が示唆された。また、これらの結果を通し、MKLおよびSRFが関与する神経突起形態を制御する新しい側面が明らかになりつつある。
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Research Products
(8 results)