2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規EGF受容体制御因子の機能解析-創薬標的分子としての検証
Project/Area Number |
08J11554
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Research Institution | University of Shizuoka |
Research Fellow |
田代 京子 University of Shizuoka, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | EGF受容体 / Ymer / エンドサイトーシス / Her2 / アクチン / プロテオミクス |
Research Abstract |
本年度は、EGF受容体のエンドサイトーシスをコントロールするタンパク質分子Ymerの疾患バイオマーカーとしての可能性について研究するにあたり、けじめに、各種乳がん由来細胞株のmRNA量を調べた。その結果、研究対象とした5種類の細胞のうちMDA-MB-231細胞のみYmerのアイソフォームのひとつであるYmer Long formが欠損しており、それ以外はLong form、Short formともに同程度に発現していた。これまでに、ヒト正常組織におけるYmer mRNAの発現では調査の対象となったすべての組織においてShort formが優位に発現していること、各種癌細胞系においてYmer Short formがほとんどの細胞で優位に発現しており、唯一の例外がEGF受容体を過剰発現しているA431細胞であることがすでに知られていた。そのため研究当初は、Ymerの発現とEGFRの発現に相関があると考えられていたが、EGF受容体だけでなく、(乳がん細胞のおよそ30%で過剰発現していることが知られているEGF受容体ファミリーの)Her2の発現とYmerの発現に相関がある可能性、すなわちYmerが受容体過剰発現による細胞の異常を知らせる疾患バイオマーカータンパク質になる可能性がある。そのほかに、Ymerと相互作用するタンパク質を追跡することで、Ymerのさらなる機能解析を行い、アクチンを相互作用パートナーとして同定した。Ymerが細胞膜とその裏打ちをする皮質アクチン細胞骨格を仲介するアクチン結合分子である、ERMタンパク質様に働く可能性がある。今後は、Ymerと同様にリン酸化プロテオミクス研究によって同定された分子であり、EGF受容体のエンドサイトーシスのコントロールを行うCFBPに関しても同様に、疾患マーカータンパク質としての可能性、機能解析を行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)