2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規EGF受容体制御因子の機能解析―創薬標的分子としての検証
Project/Area Number |
08J11554
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
田代 京子 University of Shizuoka, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Ymer / 乳がん細胞 / PTPN13 / EGF受容体 |
Research Abstract |
Ymerは、EGF刺激をしたA431細胞を用いたリン酸化プロテオミクス研究によって発見された新規タンパク質である。これまでの研究から、EGF刺激によって、チロシンリン酸化し、EGF受容体の内部移行を阻害する役割があることが示唆されていた。しかし、その詳細なメカニズムは明らかではなかった。EGF受容体シグナル伝達経路が、様々ながんの発生や進行と関わりがあることに注目し、本研究は、YmerがEGF受容体にはたらく詳細なメカニズムを明らかにするとともに、創薬標的、疾患マーカーとしての可能性を検討することを目的として行われた。 Ymerは、Long formとShort formの2種類のスプライスバリアントが存在する。mRAA発現を調べたところ、他のガン由来細胞株とは異なり、乳がん細胞では5種類のうち、4種類において、Long formが発現していた。このため、Long formが乳がん細胞性質に影響を与えているのではないかと考えられた。これまでの研究では、Short formの機能解析が主に行われていたが、本研究ではLong formの機能に着目した。YmerのLong formとShort formの違いを調べるため、本研究では質量分析計を用いた、結合パートナーの探索を試みた。組換えYmer(Long form, Short form)を定常的に発現させたA431細胞の抽出液を、2段階で精製し、精製物をSDS-PAGEで展開し、染色による可視化を行い、質量分析計でタンパク質の同定を行った。その結果、Tyrosine-protein phosphatasenon-receptor type 13(PTPN13)がLong formの精製物に特異的に存在していることが明らかになった。このため、Ymer Long formはPTPN13と相互作用する可能性が出てきた。チロシンキナーゼとがんの関係については歴史的に研究が盛んであるが、チロシンホスファターゼとの関わりについては、まだ、明らかでないところも多い。PTPN13の発現と乳がんの予後の間に相関があるという研究報告もあるため、PTPN13がYmerのLong formとShort formの機能的な相違性や、Ymerの機能メカニズムを研究する上で、重要な分子なるかもしれないと考えられる。しかし、期間中に、研究成果を学術論文にまとめるまでには至らなかった。
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Research Products
(3 results)