2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J11580
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大場 由美 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | トリブチルスズ / 結合タンパク質 / 生体異物 / 魚類 / 解毒作用 / 骨代謝 / 糖鎖 / 系統解析 |
Research Abstract |
研究代表者らはこれまでに魚類の血液中にトリブチルスズ結合タンパク質(TBT-bps)を発見した、TBT-bpsは血液中の生体異物の蓄積に関与し、また両者は粘液へTBTを排出していることを明らかにした。H21年度はTBT-bpsがら結合によりTBTの毒性を抑制することを確認するためにSuzukiら(2009)に基づいてヒブナの鱗を用いたin vitroアッセイ系によりTBTの骨代謝への影響評価を行った。またTBTが引き起こす骨代謝阻害の作用に対するヒラメTBT-bp1によるレスキュー実験を行った。その結果、ヒブナの鱗に存在する骨芽細胞のALP活性は、対照区と比較してTBT暴露により濃度依存的に抑制された(10^<-6>M,66.1%,p<0.001;10^<-7>M,79.0%,p<0.01;10^<-8>M,93.8%,p<0.05)。一方、TBT-bp1によるレスキュー実験の結果、ヒブナの鱗にTBTを10^<-6>から10^<-8>Mの濃度で暴露し、そこにTBT-bp1を10^<-7>Mで添加すると、TBTによって阻害されていた骨芽細胞の活性が回復し、その活性は対照区との間に有意差は認められなかった(10^<-6>M,89.3%;10^<-7>M,102.0%;10^<-8>M,95.4%)。また本研究室において遺伝子組換体TBT-bp1は天然のTBT-bp1と同じくTBTの毒性を抑制することを確認し、TBTとの結合に糖鎖は関与しない可能性が示唆された。我々が発見したヒラメTBT-bp1は外因性の内分泌攪乱物質であるTBTと血中で結合してその毒性を抑制し、鱗等の硬組織の形成阻害を防いでいると考えられた。また魚類TBT-bpsの分子進化を考察するために系統解析を行った。最尤法によりヒラメTBT-bp1のオーソログは9魚種に確認され、ヒラメTBT-bp2のオーソログは5魚種に確認された。これら魚類TBT-bpsは条鰭綱の分岐前後に出現し、広く硬骨魚類に保存されていることが分かった。オーソログの中にはオキタナゴのAGP、ヒガンフグPSTBPsなどが存在し、魚類TBTbpsは様々な魚類の生体内で内因性もしくは外因性の化学物質の運搬・蓄積・排出に関与しているものと考えられた。またヒラメTBT-bp2をはじめとして化学物質の暴露によってその発現量の変動する遺伝子が存在し、魚類TBT-bpsの分子マーカーとしての利用も期待された。
|
Research Products
(4 results)
-
-
-
[Presentation] PURIFICATION OF TRIBUTYLTIN-BINDING PROTEINS FROM BLOOD OF THE TIGER PUFFER, TAKIFUGU RUBRIPES2009
Author(s)
Oba Y., Yamauchi A., Oshima Y, Shimasaki Y., Satone H., Kitano T., Nakao M., Kawabata-S-I., Honjo T.
Organizer
International Symposium on Toxicity Assessment
Place of Presentation
Metz, France
Year and Date
20090830-20090904
-