2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J11593
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
江里 綾子 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 濡れ / ソフトマター物理学 / 粘性散逸 |
Research Abstract |
これまで、垂直に置いたヘレショウセルに粘性液体(ポリジメチルシロキサン、PDMS)を満たし、下からバブルを注入した時のバブルの動力学について調べてきた。バブルの上昇過程については、前年度までの研究により、一定速度で上昇すること、その上昇速度は浮力と粘性力のつり合いによって決まるということが分かっていた。本年度は、その上昇速度についてさらに詳細に調べ、また、バブルをグリセリンの液滴に変えた実験も行った。この2種類の実験ではPDMSの粘性を変えており、バブルの場合にはPDMSの粘性を高くし、グリセリンの液滴の場合にはPDMSの粘性を高くしてある。 2種類の実験を行った背景として、3次元の流体中での重力によって運動する液滴にかかる抵抗力(粘性力)と運動速度が、液滴の粘性と外側の流体の粘性比によって係数のみ異なるということがある。しかし、液滴と外部の流体の粘性比によって、抵抗力および運動速度の係数は変わるものの、他の依存性、特に、粘性依存性は変わらず、どちらの場合でも周りの流体の粘性に依存する。これが、ヘレショウセルに閉じ込められた液滴の場合にはどのようになるのかに興味を持ち調べた。 ヘレショウセル中のバブルや液滴の運動速度も3次元の場合と同様に、重力と粘性力のつり合いによって得られる。ここで、我々の研究では、ヘレショウセルに閉じ込めたことにより粘性散逸が起きる領域がいくつか考えられるために、実験結果と合わせながら、次元解析的に運動速度を求めた。その結果、液滴内部の粘性の方が周りの流体の粘性に比べて十分に大きい場合には、運動速度は液滴の粘性によって決まるということ、そしてそれは、3次元の場合とは異なり、ヘレショウセルに閉じ込めたために起こる現象だということが分かりつつある。今後さらに検証したい。
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Research Products
(5 results)