2008 Fiscal Year Annual Research Report
小腸吸収細胞の分化および栄養素摂取に伴う遺伝子発現のエピジェネティック制御
Project/Area Number |
08J11635
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
鈴木 拓史 University of Shizuoka, 生活健康科学研究科食品栄養科学専攻, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 小腸 / 絨毛内遣伝子発現分布 / エピジェネティック制御機構 / DNAマイクロアレイ解析 |
Research Abstract |
1、絨毛に存在する遺伝子群の詳細なクリプト-絨毛内発現分布を調べるためにクリオスタットにより、絨毛先端から約0.1mm毎のラット空腸絨毛薄切切片画分を得て、先端部、中央部、クリプト部の各画分についてDNAマイクロアレイ解析を行い、吸収細胞がクリプト部から絨毛先端部へと移行する過程で、細胞周期に関連する遺伝子群の発現が、急速に減少する一方で、栄養素の消化・吸収に関連する遺伝子群の発現が増大することがわかった。2、特徴的な絨毛内遺伝子発現分布を示すsucrase-isomaltase複合体(SI)遺伝子を取り上げ、SI遺伝子の絨毛内発現分布の調節機構の詳細について調べるために、クリオスタットで分画した画分について、クロマチン免疫沈降法を用いて、SI遺伝子の発現制御因子である転写因子Cdx2のSI遺伝子プロモーター領域への結合とエピジェネティック制御機構の関連を検討し、SI遺伝子の発現分布の調節には、転写因子Cdx2の結合のみならず、エピジェネティック制御機構を介したクロマチン構造の変化も関与することが示唆された。3、レトロウィルスベクターにより吸収細胞の分化型形質の発現を制御するとされている転写因子Cdx2ならびにHNF1αを小腸未分化型細胞株IEC-6に発現させ、Cdx2・HNF1α共発現細胞株に対する分化誘導試験を行った。このとき、小腸の発達過程で吸収細胞の分化・成熟に関与するとされている甲状腺ホルモンとグルココルチコイドホルモンを分化誘導刺激として用いた。その結果、甲状腺ホルモンおよびグルココルチコイドホルモンの作用の一部は、転写因子Cdx2ならびにHNF1αの発現を介して吸収細胞の分化型形質獲得に関与することが推察された。
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Research Products
(2 results)