2009 Fiscal Year Annual Research Report
生物活性テルペノイドの全合成と創薬リード探索への展開
Project/Area Number |
08J11673
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
横江 弘雅 The University of Tokushima, 大学院・薬科学教育部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | brevione E / ドミノ型反応 / アシルラジカル / 7-endo環化 / ドデカンチオール |
Research Abstract |
本年度はbrevione Eのジテルペン部分であるABC環部の構築を行い、効率的な合成法を確立するとともに、その研究途上、新規なドミノ型転位反応を見いだすことに成功した。 ABC環部構築の鍵となるのは、7員環ケトンであるA環部の合成とC環部C-8位水酸基の導入である。前者はアシルラジカル、後者はエポキシケトン転位反応を用いて合成することを計画した。文献記載の方法に従い合成した三環性カルボン酸から数工程を経て、転位反応の基質となる、分子内にエポキシドを有するラクトンを立体選択的且つ高収率にて合成した。これに対して種々検討を行ったが、予想した1、2-転位は進行せず、アンギュラーメチル基が転位した生成物が得られるのみであった。副生成物の精査を行ったところ、わずかながらイソプロペニル基を有するC-8アルコールが得られていることが明らかになった。これは、脱水とエポキシドの開環、続く分子内でのデルタラクトン形成が連続して起こった結果で、これまでに類例の無い新たな転位反応である。これに焦点をおいて更なる条件検討を行ったところ、トリフルオロ酢酸ナトリウム及びトリフルオロ酢酸を用いると高収率で目的物が合成できることがわかった。本反応は、複数の官能基変換を同時に行えることから極めて興味深い転位反応であり、今後、適用範囲の拡大を行いたいと考えている。このようにして合成したラクトンより数工程を経て分子内にイソプロペニル基を有するアルデヒドへと導き、当研究室において開発した7-エンド型アシルラジカル環化反応の条件に付したところ、定量的にA環部となる7員環ケトンを合成することができた。
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