2009 Fiscal Year Annual Research Report
多発性硬化症に併発する難治性視神経炎の発症メカニズム解明と神経保護療法の試み
Project/Area Number |
08J40002
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
原田 知加子 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都神経科学総合研究所, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 視神経炎 |
Research Abstract |
市販されている胃腸薬の成分でありながら、heat shock proteinの上昇などを促すgeranylgeranylacetone(GGA)を用いて、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)に対する神経保護効果を検討した。その結果GGA内服群では視神経脱髄の抑制、変性軸索の減少、および視機能の保護が確認された。多局所網膜電位の測定によるマウスの客観的な視機能評価は、我々が開発した手法である(J CIin Invest,2007)。今後も効果が期待される新たな薬剤について、視神経炎に対する効果を検証していきたい。 さらにapoptosis signal-regulating kinase1 (ASK1)、Olig1という2つの遺伝子がEAEの発症やミエリン再生に与える影響を明らかにするため、それぞれの遺伝子欠損(KO)マウスを用いた実験を行った。ASK1は網膜神経節細胞にapoptosisを誘導するMAPKKKの1つであることを報告済みであるが(Harada et al.Am J Pathol,2006)、最近ではTLR4の下流で自然免疫に関与することが注目されている。一方Olig1はオリゴデンドロサイトの発生に必須のbHLH (basic helix-loop-helix)型の転写因子であることが知られている。しかしいずれもEAEにおける機能は全く知られていない。両KOマウスに対してEAEを惹起したところ、いずれのマウスとも野生型よりも症状が軽く、さらにOlig1 KOマウスでは発症率そのものの低下や、病期の進行に遅延がみられることがわかった。今後はこうした軽症化のメカニズムについて、さらに検討を進める予定である。
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