2009 Fiscal Year Annual Research Report
別本を中心とする源氏物語諸伝本の相関・総合的研究-国冬本源氏物語からの展開と探究
Project/Area Number |
08J40028
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
山口 優子 (越野 優子) National Institute of Japanese Literature, 文学形成研究系, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 日本文学 / 源氏物語 / 国冬本 / 伝本研究 / 写本 / 多変量解析 |
Research Abstract |
源氏物語の最終部分である宇治十帖(橋姫~夢浮橋巻)において、室町期に流通した伝本である高松宮家本と国冬本の顕著な類似が、一年度目で確認できたので、二年度目の今年は、この事実を如何に視覚化し・分析するかに最重点のポイントを置いた。ただし宇治十帖は膨大な量であり、この分析には規制の方法では多くの時間と手間がかかる。そこでここに、統計学的手法(多変量解析等)を用いることとし、出来るだけ多くの巻について対照・分析を行う。文字列の一致の段階は先例があるので、そこに新しい係数を加え、国冬本全体の考察の最終的な完成を導き、同時に文学と統計学的解析に進歩をもたらした。 また一年度目の昨年末、"源氏物語とは一つ(青表紙本系統、とりわけ大島本)ではないことを国内外に明確に知らせたい為、独特の物語世界をもつ5巻に絞って翻刻・注釈・現代訳・(外国語訳)考察等を付し試作版を韓国で口頭発表し、論文を韓国で二〇〇九年五月末刊行した。更に七月には台湾(台湾日本語文学会)で、上記に述べた統計的手法について口頭発表し、これを同八月に刊行した。
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