2009 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における医療サービスの多様性に関する経済的実証分析
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08J40031
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
二谷 智子 (中西 智子) Nagoya University, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 近代日本 / 医療 / 配置売薬 / 地方資産家 / 家計簿 / 群馬県 / 伝染病流行 / 売薬行商人 |
Research Abstract |
本研究の目的は、19世紀後半~20世紀前半(幕末~昭和戦前期)の日本で、人々が日常生活の中で、どのような病気に罹り、いかなる医療状況に置かれていたかを、医療関係支出の観点から解明することである。その方法は経済的実証分析により、病院や医師による診療と大衆薬の自己投薬行為の両方に掛る費用負担の推移を通じて、当時の医療状況を明らかにしようと試みた。今年度は、富山配置売薬行商人が持つ顧客情報=「懸場帳」のデータ入力を行う一方で、平成21年8月に群馬県立公文書館所蔵の岡部幸雄家文書の家計簿史料を撮影した。平成21年10月の学会と同年12月のワークショップでは、群馬県内の行商地域における集金額・配薬動向と伝染病流行の関係、および同県内の都市部と郡部における集金額・配薬動向と両地域の医師・薬剤師・薬種商・売薬営業者など医療サービス提供者数の推移を概観して、当該地域の医療環境と配置薬消費の関係を考察した。また配置薬の種類や配置軒数の推移から行商人の経営戦略を検討して発表した。学会発表後、残された課題を実証するための史料を収集するため、平成21年11月に、富山市売薬資料館所蔵の福岡県の「懸場帳」と行商人の「目記帳」を撮影した。平成21年12月に、愛知県の資産家である盛田家の家計簿史料調査を補足して行い、盛田家の明治期における医療費内容の変化を検討して論文とした。
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Research Products
(3 results)