2009 Fiscal Year Annual Research Report
アラビア語方言資料のデータベース構築とそれに基づく共時的・通時的文法研究
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08J40040
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
福田 静香 (中道 静香) National Museum of Ethnology, 民族文化研究部, 特別研究員(RPD)
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Keywords | アラビア語 / 方言 / データベース / エジプト / Middle Arabic |
Research Abstract |
本研究は、アラビア語地域方言の比較研究および個別方言の通時的研究等に資する書誌データベースを構築することを目的とし、これまで様々な学問的枠組みや背景のもとに行われてきた「アラビア語方言」の記述(アラブ伝統文法学におけるアラビア語方言記述、ヨーロッパの東洋学におけるアラビア語方言研究、現代のアラビア語方言学、各地のアラビア語方言で記された民話や文学作品などを含む)の調査・収集を行ってきた。 平成21年度は、上記書誌データの入力作業を進めるとともに、エジプトにて資料調査を行い、国内や欧米では入手しにくい関連文献や写本(複写)を収集した。また、エジプト方言の歴史的研究として、Middle Arabic(古典アラビア語と方言・口語的要素とが混在したアラビア語)で書かれた資料の分析を行い、論文として発表した。この資料は、『カラークーシュの裁きにおける愚かさの書選集』と題されたエジプト国立図書館所蔵の写本で、内容は12世紀のエジプト人官僚イブン・マンマーティーが同時代の政治家バハーウッディーン・カラークーシュを風刺した逸話集の抜粋である。この写本以外にもいくつかの類本があり歴史研究ではしばしば言及されてきたが、言語研究の資料として扱われたことはなかった。論文では、当該写本をできる限り忠実に転写し、その言語的特徴を分析した。そこには書法、性・数の一致、疑問詞等に関して、他のMiddle Arabic資料と共通する特徴が見られ、また現代エジプト方言に通じる語彙の使用も認められた。
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Research Products
(2 results)