2010 Fiscal Year Annual Research Report
アラビア語方言資料のデータベース構築とそれに基づく共時的・通時的文法研究
Project/Area Number |
08J40040
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
福田 静香 (中道 静香) 国立民族学博物館, 民族文化研究部, 特別研究員(RPD)
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Keywords | アラビア語 / 方言 / データベース / エジプト / Middle Arabic |
Research Abstract |
平成22年度は、アラビア語方言の歴史的変化を探るための一次資料として、主にMiddle Arabic資料(古典アラビア語と方言・口語的要素とが混在した言語によって書かれた書記記録)の収集と分析に取り組んだ。 1、9月にフランス国立図書館において、同館が所蔵する17世紀から20世紀初頭までのアラビア語方言およびMiddle Arabic関連資料を調査した。そこで、聖書のアラビア語訳(17世紀)、シリア方言の教科書(18世紀)、エジプト方言で書かれた個人発行新聞(19~20世紀)、逸話集の写本(17世紀)など、多様な資料を実見し内容を把握することができた。2、近年Middle Arabic資料として注目されている『アラビアンナイト』テキストから、先行研究が扱っていない刊本の言語学的分析を行った。これは、『アラビアンナイト』の主要刊本の一つである「カルカッタ第2版」の全文データベース(筆者もその作成に関わった)を用いて、Middle Arabicの特徴といわれる正書法上の逸脱や口語的語彙などの要素を抽出し、その分布を明らかにしたものである。この成果は、データベース作成・利用におけるアラビア語処理の問題に重点を置いた口頭発表と報告論文(第89回人文科学とコンピュータ研究会、2011年1月)、そして「カルカッタ第2版」テキストにおける書法・言語的特徴の変遷と、それが同版の編纂過程解明の一つの手掛かりになりうることを示した口頭発表(国際シンポジウム「アラビアンナイトのテクスト伝承」、2010年12月)の3点にまとめられた。3、昨年度から収集を続けてきたMiddle Arabic資料「カラークーシュの裁きの書」諸写本について情報を整理し、写本テキストに見られる口語的要素を分析した。その内容を第9回アラビア語方言学会(イタリア、2011年3月)で口頭発表した。
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Research Products
(5 results)