2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクター・ピロリ菌感染による胃上皮細胞におけるゲノム異常生成機構の解析
Project/Area Number |
08J40044
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 裕子 Kyoto University, 医学研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 胃癌 / ヘリコバクター・ピロリ / AID / 遺伝子突然変異 / 染色体異常 |
Research Abstract |
ヒトの発癌過程において種々の遺伝子異常が認められることが知られている。胃癌の多くはヘリコバクター・ピロリ菌(HP菌)感染を契機とした慢性胃炎を背景に発生すると考えられているが、その分子機序は不明のままであった。申請者らは、ヒトに生理的に備わっている遺伝子編集酵素Activation-Induced Cytidine Deaminase(AID)の機能異常が、胃発癌過程にみられる各種遺伝子異常に関与している可能性に着目した。 本研究では、HP菌感染を契機とする胃発癌過程におけるゲノム異常生成機構の解明を目的とする。申請者らはすでに、1)HP菌感染を契機に胃上皮においてAIDが異所性に発現する、2)AID発現の結果癌関連遺伝子に点突然変異が誘導される、3)HP菌陽性ヒト胃上皮細胞では高率にAIDが発現していることを明らかにしており、HP菌感染による胃発癌過程における遺伝子変異生成・蓄積へのAIDの関与を示唆する重要な知見であると考えられた。そこで今後の研究をすすめるにあたって以下の内容を計画した。1)マウス胃組織においてAIDの持続的な発現による遺伝子変異生成・蓄積について詳細に検討すること、2)AID異常発現下の胃上皮細胞における染色体異常の有無について検討することである。活性化AIDを過剰発現する胃上皮培養細胞株を樹立し、Comparative genomic hybridization(CGH)microarray法により染色体異常についての解析を行った結果、複数の染色体においてある特定の癌抑制遺伝子領域の欠失が起こっていることが示された。またその遺伝子領域においては、高頻度に遺伝子変異を認めることが示された。
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Research Products
(1 results)