2009 Fiscal Year Annual Research Report
口腔ガンにおける細胞接着分子ギセリン/CD146の発現と機能解析
Project/Area Number |
08J40068
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小浜 恵子 Osaka University, 大学院・歯学研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | ガン / 細胞接着分子 |
Research Abstract |
口腔ガン組織の免疫化学的組織染色をおこなったところ、舌ガンおよび食道ガンの両者で細胞膜におけるギセリンの発現がみられた。扁平上皮ガンは多くの場合角化傾向を示し、ガン真珠と呼ばれるが、とくにそのガン真珠部位におけるギセリンの発現が強くみられた。 ギセリンを発現する培養細胞株を発見するために、ヒト抗ギセリン抗体を用いウェスタンブロッティングをおこない、ギセリンが口腔扁平上皮がん細胞株(SAS)、および舌がん細胞株(KYSE30)の両者に発現することを明らかとした。また、これらのガン細胞におけるギセリンの機能を明らかとするため、細胞外の配列を抑制するギセリンsiRNAを培養細胞に導入したところ、ギセリンの発現が抑制された。このギセリンの発現が抑制された細胞における形態変化は特にみられなかった。しかし、その細胞増殖をみるため、MTTアッセイ法をおこなったところ、SASおよびKYSE30両者において、野生型ギセリンに対しsiRNA導入細胞で細胞増殖が有意に抑制された。さらに、ギセリンがガン転移に関連があるかどうかを明らかとするために、インベージョンアッセイを用い、ギセリンsiRNA導入細胞における転移能を検討したところ、SASおよびKYSE30両者において、野生型ギセリンに対しsiRNA導入細胞で細胞の転移性が有意に抑制された。またこの効果は抗がん剤シスプラチンを用いたときの結果とほぼ同様である。実際のガン患者および健常者における血液サンプルを採取し、そのギセリンの発現をウェスタンブロッティングで確認したところ、ガン患者の血液でギセリンの発現が有意に増加していた。また、様々なヒトガンサンプルにおいてもギセリンの発現が増かしていることを確認した。以上のことから、ギセリンは口腔がん細胞および舌がん細胞において、がんの増殖および浸潤・転移に関与していることを明らかとした。
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