2010 Fiscal Year Annual Research Report
環境応答としてのプロトンポンプの活性制御機構の解明
Project/Area Number |
08J40113
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西 晶子 大阪大学, 産業科学研究所, 特別研究員(RPD)
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Keywords | V-ATPase / 膜蛋白質 / 細胞・組織 / プロテオーム / 酵素反応 |
Research Abstract |
aサブユニットへの変異導入によるVoV1結合部位の同定 生物が生存するためには、厳密なホメオスタシスの維持が重要で、これらの秩序を保つためにはエネルギーが必要である。エネルギーが欠乏する状態にさらされた時、細胞にはエネルギー消費を抑え必要なものを得ようとする飢餓応答が起こる。酵母では、この飢餓応答にV-ATPaseが重要な役割を果たしている。私は酵母のV-ATPaseを用いた解析から、aサブユニットが酵素の局在の決定と機能調節に関与している事を明らかにしてきた。その過程で、酵母のグルコース欠乏に対する応答としてV-ATPaseが不活性化される機構にもaサブユニットが関与する事を明らかにした。そこで、aサブユニットがどのようにVoV1の結合解離に関わっているのか、その作用機序を明らかにするため、aサブユニットにランダムに変異を導入し、VoV1の解離に影響を及ぼす残基を同定した。スクリーニングは、グルコース不在下でVoV1の解離がおこらないクローンを表現型で単離し、aサブユニットに変異がないか調べた。約1×10^4個の独立した酵母の細胞株をスクリーニングして、16の陽性クローンを得た。これらの陽性クローンのaサブユニットの遺伝子配列を調べたところ、5つのクローンのaサブユニット中に11のアミノ酸残基の変異を同定した。5つのクローンのグルコース非存在下のVIVoの解離を調べたところ、1つのクローンのみ解離しないことがわかった。このクローンには4つのアミノ酸変異が含まれていたため、部位特異的に変異導入して、VoV1解離に影響を与えるアミノ酸残基1残基を同定した。このアミノ酸残基は、多くの種およびアイソフォームを越えて保存されていた。一方、グルコース非存在下でもVoV1が解離しにくい酵母aサブユニットアイソフォームSTV1を始め、いくつかのアイソフォームでは、このアミノ酸残基が保存されていなかった。以上より、このアミノ酸残基が、種を超えVoV1の解離に関与し、V-ATPaseの主要な活性調節機構を構成していると考えている。(論文投稿準備中)
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Research Products
(1 results)