2009 Fiscal Year Annual Research Report
植物における細胞膜信号伝達分子のレドックス調節機構の解明
Project/Area Number |
08J40118
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中西 華代 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | チオレドキシン / 還元制御 / プロテオミクス / 膜タンパク質 / 信号伝達分子 / 植物 / カルシウム |
Research Abstract |
生体内で還元調節を仲介する分子の一つであるチオレドキシンは、分子量1万2千の小さなタンパク質で、他の酵素のジスルフィド結合を還元することで活性を制御する。本研究はチオレドキシンにより調節を受ける膜タンパク質分子を探索し、得られた分子を生化学的に解析することで、チオレドキシンによる還元制御の仕組み、その生理的意義を明らかにすることを目的とする。 シロイヌナズナ培養細胞の細胞膜画分を界面活性剤で可溶化し、チオレドキシン変異体固定化担体カラムに供与して、アフィニティークロマトグラフィーを行った。新たに同定した分子には、細胞膜アンカー型分子である、カルシウム依存キナーゼとホスホイノシチド特異的リパーゼが含まれていた。本年度は、カルシウム依存キナーゼのチオレドキシンによる還元調節を生化学的に解析した。その結果、この酵素は酸化により活性が抑制されるが、チオレドキシンで還元すると活性が回復することが分かった。酸化型分子では97番目と108番目のシステイン残基が分子内ジスルフィド結合しており、チオレドキシンはこの結合を還元・解離することを明らかにした。くわえて、このカルシウム依存キナーゼ分子の酸化と還元が細胞内で実際に起こるか確かめるため、シロイヌナズナ培養細胞に様々なストレスを与え、酸化型あるいは還元型の分子が現れるかを調べた。そして、ストレスを与えない条件ではカルシウム依存キナーゼは還元型であるが、過酸化水素を与えた場合にこの分子が細胞内で酸化されることを見出した。現在は、過酸化水素にくわえて他条件でも酸化型が現れるかを調べている。これらの研究から、細胞膜アンカー型カルシウム依存キナーゼの還元調節がどのような生理的役割をもっているのかを明らかにしたい。
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Research Products
(1 results)