2009 Fiscal Year Annual Research Report
コンバージョン(キリスト教)・廻心(仏教)・タウバ(イスラーム)の比較研究
Project/Area Number |
08J40140
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
徳田 幸雄 Tohoku University, 大学院・国際文化研究科, 特別研究員(RPD)
|
Keywords | 回心 / コンバージョン / 廻心 / タウバ |
Research Abstract |
研究課題「コンバージョン(キリスト教)・廻心(仏教)・タウバ(イスラーム)の比較研究」のうち、本年度は、おもにイスラームにおけるタウバの研究に軸足を置き、その成果を、これまでの研究で明らかにしたコンバージョンや廻心の構造と比較するという形ですすめた。2009年5月30日に印度学宗教学会にて発表した「イスラームのタウバについて」では、タウバの原義が「戻る」という方向転換であること、そしてクルアーンにおけるタウバが神と人とを主語にとっていることから、イスラームにおけるタウバには、人が神へ、神が人へ、互いに向き合うことが含意されているとの洞察を示した。この洞察に基づいて、仏教の廻心との比較を試みたのが、2009年9月13日に日本宗教学会にて発表した「回心の比較研究-廻心とタウバ-」である。本発表では、廻心とタウバとの構造的な重なり、つまり人間を起点とする努力と、超越者を起点とする恩恵とが、しばしば同じ語で表現され、両者が逆説的に重なり合うことを指摘した。さらに上述の観点を裏付けるべく、イスラームの神学者や思想家のタウバ理解を探ることを主要な目的として、優秀若手研究者海外派遣事業によって、マレーシアの、University Sains Malaysiaにて2010年1月~3月の3か月間、資料収集および研究に従事した。この間、所属機関(CenPRIS)の紀要雑誌、CenPRIS Woking Paper Seriesに寄稿する機会が与えられ、これまでの研究成果の一部を、論文Comparative Study of "Conversion" and 'E-shin"として発表した。これらの研究成果はいずれも、独創的な視点からの比較宗教の試みであり、宗教そのものの理解および宗教間の相互理解に寄与するものと思われる。
|
Research Products
(3 results)