2009 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の新規反応場としての水和イオン液体の設計
Project/Area Number |
08J40141
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
藤田 恭子 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 特別研究員(RPD)
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Keywords | イオン液体 / タンパク質 / 反応場 |
Research Abstract |
水和イオン液体に関する基礎知見を集積するため、タンパグ質の有用な溶媒であることが明らかになってきたcholine dihydrogen phosphate([ch][dhp])のTG/DTA測定を行った。異なる含水率での解析を行った結果、50wt%以下で調整した系を100℃まで昇温した際の残存水分量は調整時の含水量に関わらずほぼ14wt%となることが明らかとなった。また、それ以上の含水率で調整した系も加温時間を長くすることで、同様の14wt%程度で一定となることが明らかとなった。このことから、[ch][dhp]に14wt%の水が添加した状態(1イオンペアに対して水2分子)では、水は第一水和殻に存在して構成イオンに強く結合していることが示唆された。この結果は、初年度に得られている水分活性評価で得られている値ともほぼ一致した。 また、自由水は存在しないが、溶媒としての取り扱いが可能な物性を持つ含水率30wt%のHy[ch][dhp]を用いて、様々な金属タンパク質の溶解を試みた。西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)、ヘモグロビン、ミオグロビン、アズリン、シュードアズリン、アスコルビン酸オキシダーゼ(AO)をそれぞれ混合し撹拌した。その結果、HRP、アズリン、シュードアズリン、AOはよく溶解し、それぞれのタンパク質に特有の色のIL溶液となった。一方、ヘモグロビン、ミオグロビンはHy[ch][dhp]に溶解せず沈殿した。溶解した金属タンパク質はいずれも活性中心の構造を保存している結果が得られ、実際に活性が保持されていることも確認できた。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article]2010
Author(s)
藤田恭子、大野弘幸
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Journal Title
イオン液体III-ナノ・バイオサイエンスへの挑戦- 第1章「極性溶媒としてのイオン液体」(シーエムシー出版)
Pages: 3-9
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[Journal Article]2010
Author(s)
藤田恭子、大野弘幸
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Journal Title
イオン液体III-ナノ・バイオサイエンスへの挑戦- 第2章「イオン液体・水混合系」(シーエムシー出版)
Pages: 10-15
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[Journal Article]2010
Author(s)
藤田恭子、大野弘幸
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Journal Title
イオン液体III-ナノ・バイオサイエンスへ挑戦- 第22章「タンパク質の新たな溶媒-水和イオン液体-」(シーエムシー出版)
Pages: 187-194
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[Journal Article]2010
Author(s)
藤田恭子、中村暢文、大野弘幸
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Journal Title
イオン液体III-ナノ・バイオサイエンスへの挑戦- 第23章「非水系バイオ燃料電池を目指して-水和イオン液体中での酵素反応-」(シーエムシー出版)
Pages: 195-203
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[Journal Article]2010
Author(s)
藤田恭子、大野弘幸
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Journal Title
イオン液体III-ナノ・バイオサイエンスへの挑戦- 第26章「イオン液体と細胞工学」(シーエムシー出版)
Pages: 233-238
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