2008 Fiscal Year Annual Research Report
茎のデザインの至近要因および利益とコストの総合評価:競争・通導性・力学的制約
Project/Area Number |
08J40172
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長嶋 寿江 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 茎の成長 / 重量負荷 / 弾性係数 / 破壊係数 / 競争 |
Research Abstract |
植物の茎の生態学的役割は、葉を空間的に高く配置して自己被陰や他個体による被陰を避けることである。その一方で、茎は、水・栄養・光合成産物などの輸送や、植物個体の力学的支持などの生理学的・力学的機能も果たさなくてはならない。このような制約があるなかで、茎のデザインはどのように決定されているのだろうか。本年度は、茎が支える重量の大きさがどのように茎の成長に影響するかを明らかにするために、茎に重りをつける操作実験を行った。ポット植えした草本植物オオオナキミを、負荷の有無(重りあり・なし)×競争の有無(孤立・群落)の計4通りの条件で生育し、成長を調べた。さらに、重りをつけた個体を無処理個体に混合した群落を用意し、重量負荷の競争への影響を調べた。重りは各葉の生重量のおよそ5倍(10g)を各葉の葉柄に付けた。その結果、重りを付けた個体の茎の高さ、直径、材料力学的性質(弾性係数、破壊係数)は、対照個体とほとんど変わらないことが明らかとなった。孤立条件では、個体重、種子生産量も対照個体とほぼ同じだったが、群落条件では、生育途中から重りの重さのために茎が座屈して曲がってしまったために、対照個体よりも個体重や種子生産量が少なくなった。無処理個体との混合群落においても、生育途中からの座屈により、重りを付けた個体は少ない生産量となった。これらの結果から、葉など茎に付着している器官の重量は、茎の成長にあまり影響を及ぼさないことが示された。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article]2009
Author(s)
長嶋寿江(分担執筆)
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Journal Title
低温科学 第67巻 光合成研究法(北海道大学低温科学研究所・日本光合成研究会共編)2-2-b-2植物のサイズと成長-成長解析-(北海道大学低温科学研究所)
Pages: 113-118
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