2010 Fiscal Year Annual Research Report
茎のデザインの至近要因および利益とコストの総合評価:競争・通導性・力学的制約
Project/Area Number |
08J40172
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長嶋 寿江 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 植物 / 茎の徒長 / 力学的安定性 / 破壊係数 / 弾性係数 / 安全率 / 風洞 / 抗力係数 |
Research Abstract |
1.群落内の徒長した個体と徒長しない孤立個体の風に対する強さを比較した。風洞(~20ms^<-1>)を用いて茎のひずみ量を測定し、また茎の材料力学的性質(破壊係数、つまり耐えられる応力;弾性係数、つまり曲がりにくさ)を調べ、それらのデータをもとに茎にかかる応力を求めた。そしてその応力を茎が耐えられる最大の応力(破壊係数)と比較することで、各風速にける茎の安全率を求めた。その結果、茎にかかる応力はわずかに群落個体で高いものの、茎の強度(破壊係数)も群落個体でわずかに高いため、安全率は群落と孤立でほとんど変わらなかった。このような結果になった主要因は、孤立個体も群落個体も茎の根元の部分のみが風によって大きく曲がり、また葉も変形して、風を逃す体制になったことによった。従来、徒長個体は力学的安定性を犠牲にして光獲得をしていると考えられていたが、少なくとも風に対する強さは徒長してもあまり変わらないことを明らかにした。 2.徒長の力学的なコストの評価には、植物個体の力学的モデル化が必要である。その際に必要な抗力係数(大気などの流体の動圧と物体の代表面積を力に変換する係数)は、実測しないと値が分からない。それを取得した。群落個体のほうでわずかに抗力係数が小さく、より風の力を逃すようになっていた。それはおそらく葉が薄い(葉面積/葉重が大きい)ことによった。実を付ける時期になると果実の多い孤立個体で抗力係数が格段に大きくなり、風を逃す能力が低くなった。
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Research Products
(4 results)