2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J40174
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
勝亦 京子 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | リグニン / 可溶性有機物 / 芳香族炭化水素類 / 超臨界水処理 |
Research Abstract |
枯死した植物を構成する各種成分が土壌中で分解されるにあたり、多糖類、たんぱく質、脂質といった成分が速やかに分解されるのに対し、リグニンは微生物により著しく変性するもののかなりの部分が分解されず土壌中に蓄積していくと考えられる。土壌中に蓄積したリグニンの一部は河川へ溶け出していると考えているが、その挙動はほとんど解明されていない。本研究では、泥炭及び水に可溶となった有機物(DOM)について種々の化学分析、機器分析を行い、リグニンを中心とした植物由来の有機物の環境中での変性過程を明らかにすることを目的としている。 今年度は、DOMが水の臨界圧を超す22MPaという超高圧の深海に到達した後の挙動を明らかにすることを目的として、リグニンのモデル化合物としてグアイアコール、シリンゴール及び北海道美唄市の石狩川泥炭湿地から浸出してくる水から得られる可溶性有機物(Bib-DOM)について超臨界水条件での反応について解析を行った。モデル化合物の超臨界水反応液を分析したところ、メチル基、メトキシル基、水酸基の脱離が生じ、脱離したメチル基が芳香核に再結合していることが推測された。Bib-DOMを超臨界水により処理した結果、生成物としてフェノール、グアイアコール、カテコールが得られ、その合計は26mmol/C molであり、アルカリ性ニトロベンゼン酸化により得られる生成物の合計量の8倍量以上と多量であった。また、グアイアコールの超臨界水反応生成物からは、微量のベンゼン、トルエン、マシレンを検出し、易揮発性の芳香族炭化水素類の生成を確認した。
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Research Products
(2 results)