2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J40174
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
勝亦 京子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | リグニン / 超臨界水処理 / 可溶性有機物 |
Research Abstract |
枯死した植物を構成する各種成分が土壌中で分解されるにあたり、多くの成分が速やかに分解されるのに対し、リグニンは微生物により著しく変性するもののかなりの部分が分解されず土壌中に蓄積していくと考えられる。土壌中に蓄積したリグニンの一部は河川へ溶け出していると考えているが、その挙動はほとんど解明されていない。本研究では、泥炭及び水に可溶となった有機物(DOM)について種々の化学分析、機器分析を行い、リグニンを中心とした植物由来の有機物の環境中での変性過程を明らかにすることを目的としている。 これまでにDOMが超高圧の深海に到達した後の挙動を明らかにすることを目的として、リグニンモデル化合物としてグアイアコール、及びカテコールについて超臨界水条件(380℃、22.5MPa)での反応について解析を行ってきた。しかし、反応装置の制約によりグアイアコールが残留し微量に検出されることが判明したため、今年度は装置を改良し再試験を行った。その結果、グアイアコールとシリンゴールの超臨界反応において、メチル基、メトキシル基、水酸基の脱離が生じること、および脱離したメチルラジカルが芳香核に再結合することを再確認した。また、グアイアコールの超臨界反応液を固相抽出法により濃縮した結果、揮発成分であるアニソールとベラトロールが微量に検出出来た。このことは、メチルラジカルがフェノール性水酸基へ結合する可能性を示唆している。カテコールを超臨界水処理した場合、未反応のカテコールのみが検出され、その回収率は85%であった。このことは、グアイアコールの超臨界水処理では、カテコールを経由して水酸基が脱離しフェノールを生じる反応はほとんど起こらず、フェノールのほとんどがグアイアコール中のメトキシル基が脱離することによって得られることを示している。
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Research Products
(1 results)